ヘンタイが「ヘンタイ」である理由  


「アルル・ナジャ。お前がほしい!
「っこの、どヘンタイ!ジュゲムーー!!
どっかぁ〜ん
「ぐわあぁぁぁ!!
派手な音を立ててシェゾが吹っ飛ぶ。

――どさっ

あ、落ちてきた。
「む、無念……」
うわ言のようにそういうとパタリと倒れそれきり動かなくなる。
…ちょっとやりすぎちゃったかな?
ヒーリングをかけながらボクは思う。
…でも、君が悪いんだよ。いつもいつも会うたびに『お前がほしい』って。
言われる側の身にもなってよ。
そこまで考えて…ボクは面白いことを思いついた。



――数日後――



――ブォンッ

街道から少しばかり離れた小高い丘の上に黒いつむじ風が巻き起こる。
ふふふ…来た来た…
「やっとみつけたぞ…アルル・ナジャよ…」
ボクは慎重にタイミングを計る。チャンスは一度きりだ。
「今日こそお前の…」

――今だ!!

「――シェゾ・ウィグィィ!キミがほしい!!
…やった!ちょっとぎこちないけど、タイミングはばっちり!!
ここ数日間、陰でこそこそ練習した甲斐があった!大変だったんだよ〜
最初なんて誰もいないのに赤面しちゃって…まぁ、それはいまでも一緒だけど…
というかそんなのに慣れたくナイ
せいぜい今のボクは(シェゾにたいしてのみ)この言葉が言えるようになったというだけで、
恥ずかしいことに変わりはなかった。
…いつもいつも平気な顔してこの言葉かましてるシェゾをこの時ほど強くやっぱりヘンタイだ、と思ったことはなかった。
でも今、その努力(?)が報われた!!
後はシェゾの反応を見るだけ…

「…………」

あれ?
おかしいな。反応なし?
いつもいつも言ってるから自分が言われても大丈夫とか……?
いや…それなら何らかの反応を見せてるはずだし…
う〜なんだか期待はずれ…
ボクはもう一度シェゾの方を見る。

……あ。シェゾ固まっちゃってる…

そう。シェゾはボクを指差したまま見事に凍りついていた。
それも真っ白に。

…いつもは自分が言ってるくせに…

それにしても面白い反応だ。…べたと言えばべただけど。
このままここに放置しておくのもいいかな?なんて思ったけど、今は冬。
このままの状態が夜まで続けば当然夜風に当たるわけで…
仕方がないからボクはシェゾをボクの家に連れていくことにした。

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